2005.06.06
地域安全マップづくり講演会レポート
この間の話。
社長が出られなくなったので、行って来て(はぁと)と言われたので、まあ仕事も落ち着いてきたしいいか、と、某セミナーに顔を出してきました。
テーマは「地域安全マップ」。
少年犯罪の多発や防犯意識の低さが問われる昨今、犯罪心理学も踏まえた上で、学校と地域ができることとは何かという話。
キーワードは、「犯罪原因論」と「犯罪機会論」。
戦後、犯罪率が低かった日本(所謂「世界で最も安全な国」)がここにきて急に高まってきたのに対し、欧米諸国は今までの右肩上がりを横ばいにすることに成功した。
これは、
犯罪が起こったのには犯罪者の家庭環境や人格に原因があるとする「犯罪原因論」から
犯罪をする機会がたくさんあるから犯罪が起こるとする「犯罪機会論」に
切り替わってきたことが大きな要員との事。
確かに「~障害」と名前を付けて誰にでも人格障害があるとする今では、
犯罪が起こってから「リストラされていた」だの「母子家庭だった」だの
マスコミが必ずといって良いほど騒ぎ立てる。
それを聞いている自分たちも「そうか」と思ってしまうわけで。
犯罪を防ぐにはそのようなことを減らすといっても、どこまで対応できるだろうか。
先になれば緩和されるかもしれない。けれど、大切なのは「今」なのだ。
犯罪は、かなりの慎重さを要する。
だから「窓ガラスが割れにくい家には入ろうとしない」と言われる。
犯罪のための機会を与えないことは、非常に防犯効果が高い。
欧米諸国はそこに気づいた。
犯行に都合の悪い状況にしておけばいいのだ。
犯罪機会論の3つの柱は、「抵抗性」「領域性」「監視性」。
それぞれ、物理的な対策であるハード面と、心理的な対策のソフト面がある。
「抵抗性」は犯罪原因論が重要視するところだろうか。
防犯ブザーを持たせたり、鍵を2重にしたり、籠にカバーをかけたり、
犯罪者と1対1の関係で行なうタイプがこの抵抗性。
ハード面ではここのところ注目されているので防犯ブザーの所持率も上がっているが、
それを使わないという前提で所持している程度なら、結局対策になっていない。
「抵抗性」の特色は犯罪者に会ったらどうするか、というもので、どちらかというと最終手段に近い。
犯罪機会論では、残りの2つが重要視される。
「領域性」は、入りやすさや縄張り意識の話。
誰でも入れるところは領域性が低いと言える。
出入口がひとつしかないのなら、犯罪者はすぐ逃げられない。
また、地域の縄張り意識が強ければ、不審な者もすぐ目につくというもの。
「監視性」は、要するに見えやすさ。
都会で犯罪が多いのは、見えない路地がたくさんあるからだろう。
また「閑静な住宅街」として開けているように見えても、
実際は生垣や塀で見えにくくなっている場合がほとんどだ。
ソフト的な面で言えば、当事者意識だと指摘されていた。
自分たちの住んでいる地域に関心を持つことが大事なのだと。
つまり犯罪は、入りやすく(逃げやすく)見えにくいところで起こる。
防犯は場所に観点を当てたほうが効率がいいという結論になる。
防犯意識は確かに高い。
実際、行政や警視庁は、防犯マップの作成を行なっている。
どこどこで犯罪が起きただの、どこどこに不審者が起きただの、そんなマップを作った。
けれどこれは「犯罪原因論」に基づいて作られたものの為、まるで役に立ちはしない。
むしろ油断を招いたり、マスクをしている者はすべて不審者扱い。
不審者かどうかの判断は誰が行なうのか。大人でさえも見抜けない。
実際、ホームレスや知的障害者がよく不審者扱いされる。これは差別教育にもつながってしまう。
だからこそ、子どもの視点で危険地域を点検した地域安全マップの作成が進められている。
どこが危険なのかを見て回る事で気づきを得る事ができ、地域への関心が高まり、
そして大人たちも子どもに触発されて守っていこうと努力する。
なかなか面白い取り組みだなあと、セミナーではよく寝てるウチだけど、
終わってみたらもらった資料は3色ボールペンの文字と線で埋まっていた。
たぶんこれから全国の学校が総力をあげて取り組むんじゃなかろうか。
そのころには国も「犯罪機会論」を支持するようになるのかな。
昔と違って住みにくくなったなあと嘆く人もいるかもしれないけど、
たぶんそういう気の緩みが、犯罪を増長させてるのかなと、
帰りの車の中で思った次第。
参考:
小宮信夫助教授(講師)のサイト
http://www.ris.ac.jp/komiya/
地域安全マップづくりに関して(広島県での講演のまとめ?)
http://www.pref.hiroshima.jp/cspt/ochie/teigen/teigen01.htm
領域性と監視性はつまり城だ。
城を作ってお殿様を守るか、刀だけ渡して守ってくれというか、その違い。
領域性については、パーソナルスペースもあるだろう。
椅子には最低1個分あけて座りたくなる感覚だ。
これが自分だけの世界になってしまうと、犯罪に遭う可能性も高くなる。
自分のできることっていうのは、まだまだたくさんあるのだな。
11:03 | COMMENT (2) | TRACKBACK (0)
TB & COMMENT
へー。そんな講座があるんですね!
NYの地下鉄構内に絵を描いたら
まず落書きがなくなり、やがて犯罪も減った、ってのを思い出しました~。
そーですねー、
そろそろ犯罪の原因を犯罪者個人の環境に求めるのはムナシイっつーか飽きてきたつーか、少なくともその後の抑止力になってないことに(主にマスコミとかが)気づかないと。
FROM doapon : June 6, 2005 11:42 AM
あんまりまとまってないレポートですが、感想どもです♪
市教委が主催した講演会でした。なんでも、別の地域でやっていたのに出席して、「これだ!」と思ってウチの地域でも開催されたという経緯が。講師の先生はテレビでもよく取り上げられている方のようでした。謙虚な感じの方で話も聞きやすかったですよー
いらんところに税金を使うくらいなら、もうちょっとなんとかしれって感じですな。まあ、日本は欧米に倣えって風習がある(メーガン法然り)ので、そのうち変わってくると思うんですけどね~。
でも目に見えて大規模な被害になっていないこともあって、まだまだ腰は重たそうです。そしたら、地域で動くしかないんだろうな。
FROM ひじり : June 6, 2005 08:07 PM